あれはちょうど3年前の2008年、9月のことです。
あの日私は京都を訪れていて何気なく祇園近くの通りを歩いていたのですが、
偶然引き寄せられるように辿り着いたのが『何必館』でした。
ここは、とても小さな現代美術館でしたが何やら中では写真展が行われている模様。
写真家の父を持ちパートナーも写真家という縁もあってか素通り出来なくなった私は扉を開きました。
そこで開催されていたのがMartine Franck(マルティーヌ.フランク)でした。
彼女はパリを拠点にしている写真家でジョン.ミリのアシスタントを経て1983年にマグナムフォトの正会員になりました。
日本では彼女がマグナム創始者であるアンリ.カルティエ.ブレッソンの妻でありブレッソン財団を設立し、写真界に大きく貢献しているという点から注目されていたようなのですが、彼女の関心は社会的問題である『老い』やチベット仏教の転生ラマなど多岐に渡りまた、芸術家や俳優、学者などのポートレイトでも高い評価を受けています。
何必館ではこの時、所有の130点ものオリジナルプリントの中から厳選されたテーマで個展が開催されていたのです。
何必館を初めて訪れ、彼女の作品を目の当たりにした私はこの言われようのない世界観にすっかり魅了されてしまいました。
何必館の展示室は、不思議な空気が流れる白い箱なのですが、光の庭と呼ばれる中庭や和座敷に配置された骨董品、シンプルなモダニズム家具が織りなすミニマリズムな空間が彼女の作品を優しく包み、解け合っていたのです。
時を重ねた今でも時折この写真集を開き、あの空間美術を作品共々思い出します。
改めて、芸術とは記憶とともに生かされるのだろうと感じます。
何必館 http://www.kahitsukan.or.jp/index.html
※ 現在はElliott Erwitt展が開催されています(9/3〜10/23) エリオット・アーウィット展 が
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