2011年12月16日金曜日

刺し子織りの魅力



ある時、とても素敵な風呂敷に出逢いました。

元来の手でチクチクと縫い上げた素朴な刺し子とは、ひと味違った幾何学的で洗練された文様。
あまりに精巧で美しい刺し子のデザインを持つこの風呂敷にどのように作ったのだろうかと、
とても興味を惹かれました。

『刺し子織り』。聞き慣れない織技法です。
刺し子とは、布の強度を強くするためや保温効果を上げるために工夫し施された東北の人々の知恵と技から
生まれました。
それを織り機で布地を織り進めながら、刺し子も同時に刺し施すという特殊な機械技法の刺し子織りによって
文様が施されているとのこと。
1時間に1m程しか織進められない手間の掛かる生地だそうです。

こちらを手がけているのは、福島県の三和織物さん。
4代に渡って織物に携わる家系の大狭健市さんは、1979年に日本民藝館賞を受賞した、そんな刺し子織りの、
日本でたった一人の職人さんです。

時代と共に多様化してゆき、失われてゆく物が多い中、伝統を新たな形で表現し残してゆこうとする事は、
使用する私たちにも守り続けてゆこうと、物を大切にする思いにも通ずる気がします。

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